温泉に入って、館内着のまま焼肉屋へ行って、炭火で肉を焼く。翌朝はカレーと雑炊で締めて、チェックアウトまでラウンジで仕事をする——札幌・定山渓の「旅籠屋 定山渓商店」は、そういう過ごし方ができる宿です。2023年9月と2024年9月の2回泊まりました。もう一度泊まった理由もはっきりしています。温泉に入れて焼肉が食べられる宿というのは、それだけで十分に魅力的だからです。

部屋 — 洋室8畳。畳敷きにベッド2台、窓の外は山
泊まったのは洋室8畳。2回とも同じ部屋タイプでした。「洋室」という区分ですが床は畳敷きで、そこにベッドが2台入っています。窓際の広縁には小さな机と椅子が2脚あり、窓の外はすぐ定山渓の山並み。この机でちょっとした作業もできます。旅館の造りを残しながらベッドで眠れる、ちょうどいい部屋でした。

朝は部屋の窓から、山あいの空が焼けていく時間に立ち会えました。

風呂 — サウナはかなり熱め。広くて空いている
大浴場にはサウナと水風呂があり、露天風呂もあります。営業は16:00〜翌3:00と6:00〜11:00で、深夜3時まで開いているのは温泉宿としては相当長いほうです。
2回とも大浴場・露天・サウナのすべてに入りました。サウナはかなり熱めでした。浴場自体が広いおかげで、そこまで混雑を感じることもなく、ゆったり入れました。お湯は天然温泉で、源泉温度が高いため加温はしておらず、加水・循環ろ過という表記です(浴場内は撮影していないため写真はありません)。
夕食 — 焼肉コース「六段」。色々な部位を少しずつ
この宿の主役は、館内の焼肉店「定山渓精肉店」でいただく夕食です。壁に宿名を掲げた墨絵が描かれた店内には、七輪を落とし込んだテーブルが並びます。風呂から上がって館内着のまま向かえるのが、館内に焼肉屋があることの何よりの身軽さでした。

夕食は焼肉コース「六段」の1種類。第一部17:30〜19:30、第二部20:00〜22:00の2部制で、私たちは2回とも第二部にしました。17:30は少し早く、チェックイン後に温泉へ入ってから焼肉へ向かう流れが、第二部だとちょうどよく取れるからです。

肉は塩ジンギスカン・カメノコ・上カルビ・厚切りタン・三角バラの5種類。丸いトレーに部位ごとに盛り分けられ、野菜や前菜のトレーとともにテーブルいっぱいに並びます。運ばれてきた瞬間の眺めが、まず気持ちいいのです。

好きな部位を好きな量だけ頼める量り売りも別に用意されていますが、2回とも追加なしで十分な量でした。「これが一番」と挙げられる部位があるというより、色々な種類の肉を少しずつ楽しめるのがこのコースの良さだと思います。

焼いた肉をご飯にのせて、わさびを添えて食べるのも良い締めでした。

朝食 — カレーと雑炊。両方いける
朝食も夕食と同じ「定山渓精肉店」で、カレーと雑炊が用意されます(8:00〜10:00)。焼肉屋の朝がカレーというのは意外な取り合わせですが、これがまた合います。

カレーはしっかり煮込まれた味。雑炊のほうはあっさりしているのにコクがあって、こちらも美味しくいただきました。どちらか選ぶ形式ではないので、2回とも両方食べています。

ラウンジ — 電源のある場所が多く、仕事がはかどる
2回目に泊まったときは、この宿でしっかり仕事をしました。宿泊者専用ラウンジが快適で、Wi-Fiも電源も問題なし。ラウンジだけでなくフロント脇のスペースなども自由に使えて、電源のある場所が結構あるのがありがたいところです。落ち着いた雰囲気なので、作業に集中できます。利用時間で困った記憶はなく、好きなときに使えた印象でした(時間の扱いは公式サイトに明記がないため、気になる場合は宿へご確認ください)。


酒屋をテーマにした「SAKEラウンジ」もあり、照明を落とした空間に日本酒のボトルが並びます。雰囲気は抜群ですが、こちらのお酒は有料です。

アクセス
2回とも車で行きました。宿のアクセス案内では札幌方面から約44分(27.1km)、新千歳空港からは約92分(66.5km)。定山渓温泉の中では入りやすい立地です。
チェックインは16:00〜25:00、チェックアウトは12:00。チェックインが深夜1時まで、チェックアウトが12時というのは温泉宿としては異例なほど緩く、札幌で用事を済ませてから入るような使い方ができます。朝もゆっくりで、チェックアウトまでラウンジで作業する余裕がありました。
車がなくても行けます。札幌市中央区大通西5丁目(昭和ビル前)発着の無料送迎バスがあり、迎車17:00発・帰路12:45発。ただし完全予約制で、宿への電話予約が必要です。路線バスなら札幌駅からじょうてつバスで「定山渓大橋」下車、徒歩5分ほど。運行内容は変わる可能性があるので、予約時に宿へ確認してください。
まとめ — こんな人におすすめ
温泉と焼肉を1泊で両方やりたい人に、まっすぐおすすめできる宿です。風呂も、館内着のまま行ける炭火の焼肉も、翌朝のカレーと雑炊も、すべて館内で完結する。この身軽さが、2回泊まった一番の理由でした。サウナがかなり熱めなので、サウナ目当ての人にも合います。
もうひとつの顔が仕事のできる宿であること。宿泊者専用ラウンジやロビーが自由に使えて、電源のある席が多い。落ち着いた雰囲気なので、チェックアウトまで作業して、そのまま札幌へ戻るという使い方ができます。ワーケーションで温泉地に滞在したい人には、定山渓の選択肢として覚えておく価値があると思います。
一方で、旅館らしい会席や部屋食を期待する宿ではありません。夕食は焼肉コース1種類なので、そこが合うかどうかで評価が分かれます。焼肉が食べたい日に選ぶ温泉宿、という位置づけがしっくりきます。