乳白色に濁る硫黄の湯と、炭火の囲炉裏で串を焼く夕食——福島・高湯温泉の「安達屋」は、1607年開湯と伝わる高湯の歴史を背負う、小学生以下は利用できない大人の湯宿です。私たちは2024年11月、紅葉の終わりと初雪が重なる時期に泊まりました。
アクセス — 郡山からレンタカーで。11月でもスタッドレス必須
私たちは郡山駅でレンタカーを借りて向かいました。車なら福島西ICまたは福島大笹生ICから約30分。ただし高湯温泉は標高の高い山の上にあり、11月でもあっという間に雪が積もることがあります。実際、滞在中の朝には一面の雪景色になりました。この時期に車で行くならスタッドレスタイヤは必須です。駐車場は玄関横にあり、着いてすぐ停められます。公共交通機関の場合は、福島駅西口から高湯行きのバスで約40分です。
部屋 — スーペリア「ゆり」。畳にツインベッドの和モダン
泊まったのは、スーペリアタイプの**「ゆり」**という部屋。畳敷きにツインベッドを置いた和モダンな設えで、腰壁と欄間の意匠が落ち着いた雰囲気をつくります。


窓際にはテーブルと椅子のスペースもあり、外を眺めながらひと息つけます。

ラウンジ — 囲炉裏端の一杯と、アペリティフタイム
安達屋には「灯」と「Hêtre(エートゥル)」という2つのラウンジがあり、コーヒーや紅茶のフリードリンクが楽しめます。さらにHêtreでは、15時〜18時のアペリティフタイムにスパークリングワインやビールなどの日替わり食前酒とおつまみが用意されます(19時〜22時はウイスキーやワインなどのバータイム)。
チェックインしてまず向かったのは、大きな砂の囲炉裏のあるラウンジ**「灯」**。自在鉤に鉄瓶が下がり、炭がはぜる囲炉裏端で、まずはウェルカムドリンクを一杯いただきました。コーヒーや紅茶などのフリードリンクもここで楽しめます。

一方の**「Hêtre」**は、梁の走る高い天井の下にバーカウンターを備えたモダンな空間。アペリティフタイムには、ビールとおつまみでもうひと息つきました。到着してすぐ、この時間から宿のペースに引き込まれます。



記念日プランのフルーツタルト
今回は誕生日のお祝いを兼ねた滞在だったので、記念日プランでフルーツタルトを別途お願いしました。いちご・キウイ・柑橘がぎっしり載ったタルトで、これが美味しかった。部屋にはセミドライピーチとセミドライキウイのウェルカムスイーツも用意されていました。

風呂 — 乳白色の硫黄泉を貸切で
高湯温泉の湯は、酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉(硫化水素型)。掲示用泉質名でいえば硫黄泉で、乳白色に白濁した湯が特徴です。
私たちが楽しみにしていた大露天風呂「大気の湯」は、あいにく滞在時は工事中で入れませんでした(現在は東西2つを男女入れ替えで営業する形で全面オープンしています)。その分じっくり浸かったのが、貸切露天の**「薬師の湯」**です。
薬師の湯へは、茅葺き屋根の門をくぐって向かいます。この道行きからすでに風情があります。

貸切露天は壱ノ湯・弐ノ湯の2つで、宿泊者は無料。到着後にフロントで予約する50分制で、22時〜24時と明け方〜6:45は予約不要の自由貸切になります。石畳の湯小屋の先に、青みがかった乳白色の湯をたたえた露天が待っていました。湯気とともに立ちのぼる硫黄の香りに包まれて、貸切でゆっくり浸かる時間は格別です。

このほか大浴場「東の湯・西の湯」と、貸切内湯「ひめさ湯り」(7時〜22時は予約制、夜間は自由貸切)もあります。
夕食 — 炭火の囲炉裏で串を焼くコース
夕食は囲炉裏の間で18時から。全卓に炭おこしの囲炉裏を備えた個室・半個室で、囲炉裏の串焼きと、一品ずつ運ばれるコース料理を組み合わせた構成です。
席に着くと、囲炉裏の網の上に串が並びます。この日の串は油揚げ・えびいも・川俣シャモの味噌漬け・伊達鶏・ニシン・鮎。炭火でじりじり焼けていくのを眺めながら、焼き上がったものから順にいただきます。


コースの皿も一品ずつ運ばれてきます。前菜のサラダ仕立てから、メインの肉料理まで、串と別に魚も肉もあって満足度の高い夕食でした。


朝食 — 囲炉裏端の膳に、意外なパンの籠
朝食は8時から囲炉裏端で。小鉢や焼き物を箱膳に整えたセットメニューです。


この朝食で面白かったのが、焼きたてのパンの籠が出てくること。和の膳にパン——意外な組み合わせですが、これがうれしいサプライズでした。


朝、外は雪景色に
朝起きて宿の外を見ると、あたりは一面の雪景色になっていました。11月下旬の高湯はもう冬。この雪見も山の上の温泉地ならではです。

翌朝にはこの積もり方なので、アクセスの項で書いたスタッドレスの話は誇張ではありません。
まとめ — 白濁の湯と囲炉裏を静かに味わう宿
チェックアウトは9時と早めなので、朝風呂と朝食は逆算して計画するのがおすすめです。大人の宿だけあって館内は終始静かで、囲炉裏の炭がはぜる音とラウンジの一杯、白濁の湯に集中できる滞在でした。次回は全面オープンした大露天風呂「大気の湯」に浸かりに、また訪れたいと思います。