玄関を入ると、目の前に大きな吹き抜け。その中央にせり出した朱色の浮き舞台で、着物姿の奏者が三味線を弾いている——大川荘の第一印象は、温泉宿というより「舞台」でした。会津若松の南、大川(阿賀川)の渓谷沿いに建つ芦ノ牧温泉の老舗旅館で、この吹き抜けロビーが「あの無限城のよう」と話題になった宿です。2023年3月に宿泊した体験をもとに、良かったところも気になったところも正直にレポートします。

チェックイン — 吹き抜けと浮き舞台に圧倒される
チェックインしてまず目を奪われるのが、何層にも重なる木組みの吹き抜けです。回廊や階段がぐるりと取り囲み、見る場所によって表情が変わります。下の階には水盤や茶室のような建物まで配されていて、館内散策だけでも楽しめます。

三味線の生演奏 — 16時〜18時頃、これだけは見てほしい
夕方16時〜18時頃、浮き舞台で三味線の生演奏があります。吹き抜け全体に三味線の音が響いて、この宿でしか味わえない時間でした。大川荘に泊まるなら、チェックイン後にまずこれを見るのがおすすめです。ちなみに開催しない日もあるようなので、確実に見たい場合は事前に宿へ確認を。

部屋 — 旧館の和室。窓の外は渓谷、Wi-Fiは快速
今回泊まったのは旧館のシンプルな和室です。畳の部屋の窓際に椅子が2脚あり、窓の外にはすぐ大川の渓谷。川音を聞きながらぼんやりできる、昔ながらの温泉宿の部屋です。

意外だったのはWi-Fiで、旧館でも非常に速く快適でした。なお少し料金が上がる新館はより現代的な設えのようなので、部屋の雰囲気を重視するなら新館を検討するのもよいと思います。

風呂 — ぬるっとした湯が良い。空中露天は朝5:30からの無料開放が狙い目
お風呂は大浴場「四季舞台 たな田」。内湯と棚田状の露天、サウナが揃います。湯はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉で、浸かるとぬるっとした肌ざわりがはっきり分かる、想像以上に良いお湯でした。

正直に書くと、到着日の夕方〜夜はかなり賑わっていました。人気宿なので仕方ないところですが、翌日はうって変わって落ち着いて入れたので、ゆっくり浸かりたい人は2日目の朝を狙うのがおすすめです。
渓谷側に張り出した名物の空中露天風呂は、日中〜夜は45分3,300円の貸切予約制で、翌朝5:30〜9:30は宿泊者に無料開放されます。それなりの広さがあって眺めも良い風呂です。ひとつ知っておきたいのは、浴場から露天までの階段が結構長いこと。3月の朝はかなり寒かったので、冬場に朝風呂へ行くなら湯冷め対策をしていくと安心です。
夕食 — 馬肉のすき焼きと陶板焼き。味は良し、時間には余裕を持って
夕食は会津の食材を織り込んだ会席です。前菜と刺身に続いて、会津らしい馬肉のすき焼き、牛の陶板焼き、締めのそばまで、味はどれも美味しくいただきました。




ひとつ気になったのは会場のオペレーションで、開始時間には入口に列ができていたり、席によって案内のタイミングにばらつきがあったりと、慌ただしさを感じる場面がありました。大型旅館の夕食会場ではありがちなことなので、時間に余裕を持って、のんびり構えて向かうのがよさそうです。
朝食 — ビュッフェ。名物は炙りメレンゲの卵かけご飯
朝食はビュッフェ形式です。品数が飛び抜けて多いわけではありませんが、会場が広いおかげで思ったほど混み合わず、落ち着いて食べられました。

名物は、ふわふわのメレンゲをバーナーで炙ってのせる卵かけご飯。見た目のインパクトは満点です。個人的には普通の卵かけご飯の方が好みでしたが、話のタネにはぜひ一度どうぞ。ご当地感でいえば、会津の「会津の雪」ヨーグルトがあったのもうれしいところでした。

アクセス
今回は車で行きました。会津若松の市街地から国道118号を南へ約30分、大川の渓谷沿いに建っています。チェックインは15時、チェックアウトは10時。電車の場合は会津若松駅から送迎があるようなので、予約時に宿へ確認してみてください。
まとめ — こんな人におすすめ
「温泉宿に泊まる」こと自体をイベントにしたい人に向いた宿です。吹き抜けの浮き舞台と三味線の生演奏は、他の宿では味わえない大川荘だけの時間。ぬるっとした湯も期待以上でした。一方で、人気宿ゆえ到着日の風呂や夕食会場は賑やかなので、静寂を最優先する旅よりは、名物と雰囲気を楽しむ旅に合います。会津若松の城下町観光や大内宿方面と組み合わせて、会津ドライブの宿泊拠点にするのがおすすめです。