黒川温泉の中心街から車でさらに10分ほど山へ入った、奥黒川と呼ばれるエリア。田の原川の渓流沿いに建つ「山あいの宿 山みず木」は、黒川でも指折りの露天風呂を持つ宿として知られています。2024年7月、夏の盛りに宿泊しましたが、山の中だからか夜と朝はかなり涼しく、心地よく過ごせました。木立に囲まれた玄関へのアプローチから、もう空気が違います。


チェックイン — 囲炉裏のあるラウンジと、気持ちのよい挨拶
館内に入ると、囲炉裏のあるラウンジが迎えてくれます。鉄瓶の掛かった囲炉裏と大きな窓の外の緑。ウェルカムのお茶とお菓子をいただきながら、旅のスイッチが切り替わる時間です。


印象的だったのは従業員の方々の感じの良さです。人数が多いのにもかかわらず、すれ違うたびに必ず挨拶をしてくれて、滞在中ずっと気持ちよく過ごせました。
部屋 — 和室+寝室+広縁。2階から瓦屋根と山を眺める
今回は2階の部屋に宿泊。メインの和室に加えて寝室が別にあり、さらに窓沿いに広縁までついた、2人には十分すぎる広さの間取りです。



風呂 — 内湯のひのき風呂から、そのまま渓流沿いの大露天へ
お風呂は建物の外、渓流沿いの別棟の湯小屋です。小道を歩いて向かう時間も含めて、この宿のハイライトでした。

男湯は内湯「ますら男」(ひのき風呂と切り石風呂)から露天「幽谷の湯」へ直接つながる造りで、体を洗ってひのき湯で温まり、そのまま川に面した露天へ。この露天風呂の大きさはかなりのもので、田の原川のせせらぎを聞きながら、湯船の中を移動するだけで景色が変わります。女湯は内湯「風人の湯」と、内湯を併設した露天「森の湯」。貸切風呂「さおと女」もあります。
湯は単純温泉(低張性弱酸性高温泉)の源泉かけ流し。低刺激のやわらかい肌ざわりで、長湯向きです。
うれしいのが、姉妹館「山みず木別邸 深山山荘」の大浴場「村中の湯 たゆたゆ」も利用できること。実際に行ってみましたが、こちらも川音を聞きながら入れる良い湯でした。山みず木とは泉質が違うとのことで、2つの湯を比べられるのは贅沢です。
夕食 — 個室で鮎の串焼きと肥後牛。締めは団子汁のおじや
夕食は個室の食事処で。周りを気にせず、落ち着いた雰囲気で食べられます。

名物感があったのは鮎の串焼き。竹筒に立てて供される演出つきで、塩がしっかり効いた香ばしい焼き上がりです。

メインは肥後牛の陶板焼き。焼きとうもろこしやアスパラと一緒に目の前で焼き上げます。そして郷土料理の団子汁。平たい団子と野菜の素朴な汁物で、これが染みる美味しさでした。


締めには団子汁をおじや風にしてもらい、最後まで大満足の夕食でした。
朝食 — 温めた阿蘇の牛乳と豆乳鍋
朝食も夕食と同じ個室で。珍しかったのは、阿蘇の牛乳を温めて出してくれること。朝の体にやさしく染みます。豆乳鍋、鮎の干物、そしてご飯のお供の味噌と、朝から阿蘇の食材づくしです。

アクセス
黒川温泉の温泉街からは車で約10分の奥黒川エリア、田の原川沿いにあります。チェックインは15時、チェックアウトは11時。温泉街の湯めぐりや散策と組み合わせるなら車が便利です。宿の周りは本当に山の中なので、夏でも夜と朝は涼しく、それも含めてのごほうびでした。
まとめ — こんな人におすすめ
「黒川温泉らしさ」を静かな環境でじっくり味わいたい人におすすめの宿です。温泉街の賑わいから少し離れているぶん、渓流の音と緑に浸る滞在に振り切れます。内湯から直結する大きな渓流露天、個室でゆっくり食べる会席、そして気持ちのよい接客。深山山荘との湯めぐりまで含めれば、宿から一歩も「観光」に出なくても満たされる一泊になります。阿蘇や湯布院方面へのドライブと組み合わせて、旅の主役にしたい宿です。