東北道を宇都宮ICで日光宇都宮道路に乗り継げば、都心から約3時間で世界遺産の門前町・日光に着きます。このルートのテーマは「世界遺産と日光街道グルメ」。今市の道の駅でひと息入れてから、朱塗りの神橋、豪華絢爛の東照宮と歩き、お昼は名物のゆば御膳。午後は蔵造りのカフェで天然氷のかき氷と深煎りコーヒー、締めくくりに明治創業の煎餅店でお土産——門前町の「和」の魅力を一日でぎゅっと味わう行程です。日帰りでも回りきれますが、夕方の静かな社寺周辺をゆっくり歩くなら、温泉宿での一泊がおすすめ。実は日光市街にも「日光温泉」の湯があるのです。
このルートで巡るスポット
- 道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣(今市) — 往路の小休止と、帰り道の昼食・お土産に使える日光街道の拠点
- 神橋 — 大谷川に架かる朱塗りの木造橋。世界遺産エリアの入口
- 日光東照宮 — 陽明門・眠り猫・五重塔。言わずと知れた世界遺産
- ゆば料理 さん・フィールド — 湯波御膳で日光名物を味わい尽くすお昼どき
- 日光珈琲 御用邸通 — 古民家の趣そのままのカフェで、天然氷のかき氷と深煎りブレンド
- 日光甚五郎煎餅本舗 石田屋 — 明治40年創業。ばらまき土産にも自分用にもはまる甚五郎煎餅
ルート詳細
1. 道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣(今市)
- タイプ: 道の駅
- 滞在目安時間: 30〜60分
- 見どころ: 日光宇都宮道路の今市ICと日光市街の中間、旧日光街道沿いにある道の駅です。往路の小休止にちょうどいい位置で、館内には地元の農産物や土産物が揃います。金谷ホテルベーカリーの店舗も入っているので、日光の老舗ホテルの味をここで調達できるのもうれしいところ。私たちが立ち寄ったときは、地元産のイチゴを購入しました。ジェラートやワッフルの店、定食や丼もののお食事処もあるので、帰り道の昼食スポットとして立ち寄る使い方もおすすめです(レストランは11:00〜18:00、施設は9:00〜18:00・火曜定休)。

2. 神橋
- タイプ: 観光スポット
- 滞在目安時間: 15〜30分
- 見どころ: 日光市街を抜けて世界遺産エリアに入る手前、大谷川の渓流に朱塗りの美しいアーチを描くのが神橋です。二荒山神社の建造物で、「日本三奇橋」のひとつにも数えられる木造橋。国道の橋の上から眺めると、渓流の透明な流れと朱塗りのコントラストが見事で、ここが門前町の入口だと実感させてくれます。冬に訪れたときは、岸に雪が残る渓谷の静けさの中に朱色がいっそう映えていました。車は東照宮周辺の駐車場に停めて、参拝とあわせて歩いて戻ってくるのが効率的です。

3. 日光東照宮
- タイプ: 観光スポット
- 滞在目安時間: 90〜120分
- 見どころ: 徳川家康を祀る、言わずと知れた世界遺産です。拝観料は大人1,600円、駐車場は普通車600円。杉木立の参道を進むと五重塔が迎えてくれ、その先に、極彩色の彫刻で埋め尽くされた陽明門が待っています。「日暮の門」の異名通り、彫刻を一つひとつ眺めているといくらでも時間が過ぎていく門です。回廊の眠り猫、白い胡粉塗りが優美な唐門と見どころが続き、眠り猫の先から奥宮へは杉木立の石段をひと登り。伝説の彫刻を探しながら歩くだけで、あっという間に2時間近く経ってしまいます。



私たちが参拝したのは2021年1月。コロナ禍がまだ続いていた時期で参拝客が少なく、冬の澄んだ空気の中、静まり返った境内をゆっくり歩けたのが強く印象に残っています。混雑期の東照宮しか知らない方にこそ、静かな季節の参拝を体験してほしいところです。
- 宿泊予約:
4. ゆば料理 さん・フィールド
- タイプ: グルメ
- 滞在目安時間: 60〜90分
- 見どころ: お昼は日光名物のゆばを。東照宮から日光街道を今市方面へ少し戻った下鉢石町にある、ゆば料理の専門店です。注文したのは看板メニューの湯波御膳。福ゆばとゼンマイゆばの煮物を主役に、しの巻きゆばのあんかけ、つくだ煮、串ゆば、ゆばおから、胡麻豆腐との酢の物、お吸い物、デザートのゆば珈琲ゼリーまで、とにかく品数が多く、ゆばの食べ方のバリエーションをこれでもかと楽しめます。あんかけが熱々で体が温まるのもうれしいところ。料理は注文からすぐ出てきますが、席数が多くないため土日は行列になることもあるようです。お値段はそれなりにしますが、日光周辺の観光地価格の中では「ゆばを色々食べたい」という希望にいちばん応えてくれる一軒だと思います(11:00〜・木曜定休。支払いは現金のみ)。


5. 日光珈琲 御用邸通
- タイプ: カフェ
- 滞在目安時間: 45〜60分
- 見どころ: 食後は西参道の先、田母沢御用邸へ続く御用邸通にあるカフェへ。古い商家を改装した店構えで、赤茶の瓦屋根に格子戸、白い暖簾という佇まいだけで一枚の絵になります。いただいたのは定番の「日光ブレンド」と、いちごのかき氷。日光は天然氷の産地として知られていて、ここのかき氷もその天然氷を使ったもの。冬にかき氷?と思うかもしれませんが、ストーブの効いた暖かい店内でいただく冷たいかき氷は格別で、昔ながらのシンプルなスタイルがかえって新鮮でした。日光ブレンドはしっかりとしたコクの深煎りで、冷えた体にじんわり染みる一杯。門前町歩きの休憩にぴったりの、のんびりした時間が流れるカフェです。



6. 日光甚五郎煎餅本舗 石田屋
- タイプ: グルメ(土産)
- 滞在目安時間: 15〜30分
- 見どころ: カフェから歩いてすぐ、御用邸通の一角にあるのが明治40年(1907年)創業の老舗煎餅店・石田屋です。名物の日光甚五郎煎餅は、あっさりした塩味とバターオイルの風味が特徴のうす焼き煎餅。軽い口当たりで一枚、また一枚と手が伸びる「食べやすさ」が身上で、私たちもすっかりはまって自宅用に購入しました。眠り猫を彫った名工・左甚五郎にちなむ名前も日光土産らしくて良いところ。営業は9:00〜17:00で年中無休なので、旅の締めくくりに立ち寄りやすいのも助かります。

紅葉シーズンに行くなら — 見頃の目安と、いろは坂の渋滞対策
私たちが日光を歩いたのは1月ですが、言うまでもなく日光は紅葉の名所です。ただし秋の日光には渋滞という避けて通れない問題があるので、計画を立てるのに必要な情報を整理しておきます(以下は各種公開情報にもとづく計画のための目安で、私たちが秋に走った記録ではありません)。
見頃は標高で1か月ずれる
日光は標高差が大きく、紅葉が上から下へ降りてきます。例年、奥日光・戦場ヶ原は9月下旬から色づきはじめ、いろは坂と中禅寺湖が10月中旬〜11月上旬、そしてこのルートで歩く東照宮周辺の日光市街は11月上旬〜中旬。つまり「奥日光の紅葉」と「門前町の紅葉」は別の週末の話です。世界遺産の社寺と紅葉を一度に見たいなら、狙うのは11月に入ってからになります。
いろは坂の渋滞は「2〜3時間」の世界
中禅寺湖まで足を延ばすなら、覚悟しておきたいのがいろは坂の渋滞です。通常20分ほどの道のりが、紅葉のピーク時には2〜3時間かかることもあります。混雑するのはおおむね9:00〜15:00で、紅葉シーズンの土日は17:00頃まで続くことも。ピーク時は平日でも発生します。しかも日光市街から中禅寺湖へ上るのは第2いろは坂(上り専用)、戻りは第1いろは坂(下り専用)の一方通行なので、「空いている道を選ぶ」という逃げ方ができません。
対策は「前日に泊まって、朝7時前に動く」
渋滞回避の定石は時間帯をずらすことで、土日祝なら早朝7時前、平日なら15時以降が比較的すいているとされています。ここで効いてくるのが宿泊です。日光市街か奥日光に前泊しておけば、渋滞が始まる前の早朝にいろは坂を上れます。都内を朝に出発して7時前に日光へ着くのは現実的ではないので、紅葉シーズンに関しては「泊まること」がそのまま最大の渋滞対策になります。
門前町の紅葉にあわせて市街に泊まるなら、社寺まで歩ける宿が便利です。
いろは坂の上、中禅寺湖畔に泊まってしまえば、渋滞の起きる区間を前日のうちに越えておけます。
なお紅葉シーズンの日光は、宿そのものが埋まる時期でもあります。10月から11月上旬の週末を狙うなら、夏のうちに押さえておくと選択肢が残ります。奥日光は標高1,200mを超えるので、朝晩の冷え込みと、時期によっては路面状況にも備えておくと安心です。
まとめ
今市の道の駅で旅支度を整え、神橋と東照宮で世界遺産の門前町を歩き、ゆば御膳・天然氷のかき氷・老舗の煎餅と「日光の和」を食べ歩く——日光ICから半径数kmに、これだけの濃さが詰まっているルートです。日帰りでも十分回りきれますが、観光客が引き上げた夕方以降の静かな社寺周辺は、泊まった人だけが歩ける特別な時間。日光市街には日光温泉の湯をたたえた宿もあるので、ぜひ一泊して、朝いちばんの澄んだ空気の中でもう一度参道を歩いてみてください。