これまでのルートが「走って巡る旅」なら、これは「着いてから始まる旅」です。東京から湯河原までは約2時間。昼前に着いてしまう近さを活かして、一つの温泉場にどっぷり浸かる滞在型のプランを組みました。テーマは「歩く湯河原」。梅の季節なら幕山の斜面を埋める梅林を歩き、駅前で全国からファンが訪れるパン屋と老舗菓子メーカーの直営店をはしごして、豆腐の名店でお昼。渓流沿いの万葉公園でぼんやりしたら、あとは宿の湯に浸かるだけ。車は宿に置いて、温泉街を歩幅の小さい旅で味わい尽くします。運転の総量が少ないぶん、帰りの疲れが軽いのもこのルートの隠れた美点です。
このルートで巡るスポット
- 幕山公園(湯河原梅林) — 山の斜面を埋める梅。2〜3月の湯河原はここから
- ブレッド&サーカス — 全国からファンが訪れる、自家製天然酵母の名店
- ちぼり湯河原スイーツファクトリー — カフェにお土産にお菓子づくり体験。使い勝手のいい駅前の寄り道
- 湯河原 十二庵 — できたて豆腐のお昼と、持ち帰りのよせ豆腐
- 万葉公園(湯河原惣湯) — 渓流沿いの遊歩道と、本と過ごせる日帰り温泉
- 不動滝 — 温泉街の奥にひっそり落ちる滝。散歩の折り返し地点に
ルート詳細
1. 幕山公園(湯河原梅林)
- タイプ: 観光スポット
- 滞在目安時間: 60〜90分
- 見どころ: 湯河原の町の背後にそびえる幕山。その南斜面に約4千本といわれる梅が植えられ、見頃の2月から3月には「梅の宴」が開かれます。岩壁と梅の組み合わせはここならではの景色で、遊歩道をゆっくり登るほどに眼下の相模湾が開けていきます。梅のシーズン以外も、新緑や紅葉のハイキングコースとして気持ちのいい場所。チェックイン前の腹ごなしにちょうどいい運動量です。
2. ブレッド&サーカス
- タイプ: パン屋
- 滞在目安時間: 20〜30分(行列次第)
- 見どころ: 湯河原駅から歩いて5分ほど、全国からパン好きが買いに来る自家製天然酵母の名店です。ドイツ、フランス、北欧——さまざまな国にルーツを持つハード系を中心に、焼き菓子まで含めて個性的なパンがずらりと並び、どれも大ぶりで力強いのが身上。夕方を待たずに売り切れる日も多いので、幕山から町へ下りたらまずここへ向かうのが正解です。営業日が週の半分ほどに限られる(火〜木曜は定休)お店なので、旅の日程を組む段階で営業日の確認を。ここで買ったパンは、翌朝の宿で湯上がりに頬張るのが最高の食べ方です。

3. ちぼり湯河原スイーツファクトリー
- タイプ: グルメ・体験
- 滞在目安時間: 30〜60分
- 見どころ: 贈答用クッキーの大手メーカー「ちぼり」が地元・湯河原に構える直営店で、湯河原駅から歩いてすぐ。カフェでひと休みするもよし、工場見学コースをのぞくもよし、クッキーにお絵かきするお菓子づくり体験もあって、孫連れの旅から雨の日の時間調整まで、いろいろな用途に応えてくれる懐の深い場所です。お土産のクッキー缶はばらまき土産にも本命土産にも使えて、旅の最後に「お土産どうしよう」と慌てなくて済むのもありがたいところ。

4. 湯河原 十二庵
- タイプ: グルメ(豆腐・生ゆば専門店)
- 滞在目安時間: 45〜60分
- 見どころ: 温泉街へ向かう道の途中にある、豆腐と生ゆばの専門店。国産大豆と湯河原の水で仕込むできたての豆腐は、全国豆腐品評会で最優秀賞をとった折り紙付きの味です。イートインでは寄せ豆腐を主役に、おからや湯葉、味噌汁までつく大豆づくしの御膳が名物で、このルートのお昼はここに決まり。朝から営業しているので、二日目の朝ごはんに使う手もあります。帰り際によせ豆腐をお持ち帰りにすれば、家に帰ってからも湯河原の旅がもうひと晩続きます(保冷バッグがあると安心)。


5. 万葉公園(湯河原惣湯)
- タイプ: 観光スポット・日帰り温泉
- 滞在目安時間: 60〜120分
- 見どころ: 温泉街の中心、千歳川沿いに広がる緑濃い公園。万葉集に詠まれた古湯であることにちなんだ名で、渓流沿いの遊歩道は木漏れ日と水音が心地よく、湯河原の「しっとりした空気」を最も濃く感じられる場所です。園内には本を読みながら湯上がりの時間を過ごせる日帰り温泉施設「湯河原惣湯」があり、宿のチェックイン前後の時間調整にも最適。途中の茶屋で名物のきび餅をつまむのもお忘れなく。夕食は町へ出て、ご当地グルメの坦々やきそばを探すのも一興です。


6. 不動滝
- タイプ: 観光スポット
- 滞在目安時間: 20〜30分
- 見どころ: 温泉街から奥湯河原方面へ少し登った先、道路脇からすぐの場所に落ちる滝。観光地として大げさに整備されていない素朴さがよく、滝つぼ近くまで歩み寄ると、水しぶきの涼気に包まれます。翌朝、チェックアウト後の「もうひと呼吸」に立ち寄るのがおすすめの使い方。ここまで来たら、奥湯河原の静かな谷あいの景色ものぞいてから帰路につきましょう。
- 宿泊予約:
まとめ
たくさん走って巡る旅も楽しいけれど、湯河原は「留まる」ことに向いた温泉場です。梅林を歩き、名店のパンと豆腐を仕入れ、渓流の音を聞き、湯に浸かって、また少し歩く。行程表のない一泊二日は、運転の疲れと入れ替わりに、ゆっくりした時間の感覚を返してくれます。梅の季節が第一のおすすめですが、新緑も紅葉も、それぞれの湯河原があります。帰り道、時間に余裕があれば真鶴半島に寄り道を——それはまた別のルート(海沿いグルメ編)で詳しく紹介しています。