宮城側から蔵王の懐に入って遠刈田温泉に一泊し、翌朝、蔵王エコーラインで山を越えて山形へ。峠の途中には荒涼とした駒草平と、エメラルドグリーンの火口湖・御釜が待っています。山形側に下りたら蔵王温泉でジンギスカンとかき氷、上山でフルーツパフェ、締めは石段を登った先に絶景が広がる山寺(立石寺)。温泉・山岳景観・ご当地グルメを一本の線でつなぐ、蔵王をまるごと味わう1泊2日です。
私たちは遠刈田温泉が気に入って何度も通っていて、このルートはその複数回の旅で実際に立ち寄ったスポットを、走りやすい順に1泊2日へ再構成したものです。立ち寄り先は動画でもまとめています。
大事な注意をひとつ。 御釜へ通じる蔵王エコーライン・蔵王ハイラインは、例年11月上旬から翌年4月下旬まで冬期通行止めになります。さらに開通直後(〜GW明け)と10月中旬以降は毎日17時〜翌朝8時の夜間通行止めがあり、御釜最寄りの有料道路・蔵王ハイラインは16時30分が最終入場です。行楽シーズンの週末晴天時は宮城県側から料金所にかけて渋滞するので、2日目は朝早めに宿を出るのがおすすめです。最新の通行情報は蔵王町観光物産協会のサイトで確認してから向かってください。
このルートで巡るスポット
- BLUE COFFEE — 森の中の一軒家喫茶でバスクチーズケーキ
- 遠刈田温泉(別邸山風木/旬菜湯宿 大忠) — オールインクルーシブの名宿2軒から選ぶ今夜の宿
- 駒草平 — 荒涼とした火山礫の展望地と不帰の滝
- 蔵王・御釜 — エメラルドグリーンの火口湖、蔵王のハイライト
- ドッコ沼 — 蔵王中央高原にひっそり佇むエメラルドの沼
- ろばた — 蔵王温泉でジンギスカン、店前には無料の源泉足湯
- 音茶屋 — 温泉街のカフェでふわふわのかき氷
- HATAKE STYLE 上山本店 — 果樹園直営、旬のフルーツてんこ盛りのパフェ
- 道の駅 やまがた蔵王 — 山形プリンをおみやげに
- 立石寺(山寺) — 石段を登った先の絶景で締めくくり
ルート詳細
1. BLUE COFFEE
- タイプ: その他(喫茶)
- 滞在目安時間: 40〜60分
- 見どころ: 仙台方面から国道286号で川崎町へ。遠刈田温泉に向かう道すがら、森の中に建つ一軒家の喫茶店に寄り道します。木立の小道を抜けた先に現れる板張りの建物は、看板が控えめで、たどり着くまでちょっとした探検気分。窓の外に森が広がる静かな店内で、丁寧に淹れたコーヒーと一緒にいただいたバスクチーズケーキが印象に残っています。山あいの店なので、営業日時は事前に確認してから向かうのが安心です。


2. 遠刈田温泉(別邸山風木/旬菜湯宿 大忠)
- タイプ: 温泉(宿泊)
- 滞在目安時間: 一泊
- 見どころ: 川崎町から県道を南へ約20分、蔵王連峰の東麓に開けた遠刈田温泉が今夜の宿です。私たちが2回ずつ泊まって気に入っている宿が2軒あり、どちらも飲みものが宿代に含まれるオールインクルーシブ。チェックインして車を置いたら、あとは湯と食事に専念できます。
静かな森の中で源泉かけ流しの湯とコース仕立ての夕食を楽しむならオーベルジュ 別邸山風木。無料の貸切風呂とバレル式サウナがあり、時期が合えば三陸産の生雲丹丼が確約されるプランも選べます。詳しくは別邸山風木の宿泊記にまとめています。
温泉街の中で全10室のこぢんまりした宿に泊まるなら旬菜湯宿 大忠。空いていれば何度でも入れる3つの貸切風呂と、蔵王牛の陶板焼きや秋の釜炊きはらこめしが楽しみです。こちらは大忠の宿泊記へ。
翌朝は早めにチェックアウトして、蔵王エコーラインで山を越えます。宿から賽の磧ゲートまでは温泉街を抜けてすぐです。
3. 駒草平
- タイプ: 観光(自然)
- 滞在目安時間: 20〜30分
- 見どころ: エコーラインを登っていくと、森林限界を越えたあたりで急に景色が変わり、火山礫の荒野が広がります。ここが駒草平。駐車場から遊歩道が延びていて、崖っぷちの展望台からは断崖を落ちる不帰の滝と蔵王の山肌が一望できます。高山植物の女王・コマクサの群生地として知られますが、正直に書くと、私たちがはっきり見つけられたのは岩礫の間に咲く1株だけでした。それでも、この砂礫の中で咲く健気な姿は見つけたときの嬉しさもひとしおです。



4. 蔵王・御釜
- タイプ: 観光(自然)
- 滞在目安時間: 40〜60分
- 見どころ: エコーラインの頂上部で分岐する有料道路・蔵王ハイラインを登れば、蔵王のハイライト・御釜です。刈田岳の山頂駐車場から展望台まで歩くと、眼下にエメラルドグリーンの火口湖がぽっかりと現れます。湖面の色は光の加減で刻々と変わり、晴れた日の鮮やかさは息をのむほど。ただしここは山の上、ガスがかかると湖面がまったく見えないことも珍しくありません。下の写真は運よく晴れてくれた日のもの。天気予報とライブカメラを確認して、午前中の早い時間に行くのが勝率を上げるコツです。ハイラインは16時30分最終入場なので、午後に回すと渋滞次第で入れなくなることもあります。

御釜を見たら、エコーラインを山形側へ下ります。県境を越えて坊平高原を過ぎ、山形市街方面へ。ここからは山形県の蔵王温泉エリアです。
5. ドッコ沼
- タイプ: 観光(自然)
- 滞在目安時間: 20〜30分
- 見どころ: 蔵王温泉の温泉街から山道を上がった蔵王中央高原に、ブナ林に囲まれてひっそりと佇む小さな沼です。名前の由来になったと言われる独鈷(仏具)はさておき、驚くのはその水の色。木立の間から覗くエメラルドグリーンの水面は、御釜とはまた違う柔らかな色合いです。ロープウェイで上がる人が多いエリアですが、私たちは車で行きました。観光地らしい賑わいのない、静かな森の湖畔でひと息つけます。

6. ろばた
- タイプ: その他(ランチ)
- 滞在目安時間: 45〜60分
- 見どころ: 山を下りて蔵王温泉の温泉街へ。お昼は湯の香通りの「ろばた」でジンギスカンにしました。蔵王はジンギスカンの提供が盛んな土地で、専用の鍋で焼くラム肉と野菜は、くさみがなく軽くていくらでも食べられます。じつはこの店、温泉宿も営んでいて、店の前には源泉の足湯が無料開放されています。食事の前後に、緑がかった濁り湯の足湯で峠道の運転の疲れをほぐしていくのがおすすめです。



7. 音茶屋
- タイプ: その他(カフェ)
- 滞在目安時間: 30〜40分
- 見どころ: 食後のデザートは、同じ温泉街のカフェ「音茶屋」で。黒い板壁の建物に「氷」の旗が出ていたら、迷わず入りましょう。ふわふわに削った氷の山は、スプーンを入れるとしゅっと消える軽さで、ジンギスカンの後でもぺろりといけます。温泉街をぶらぶら歩くついでに寄るのにちょうどいい立地です。


8. HATAKE STYLE 上山本店
- タイプ: その他(カフェ・直売)
- 滞在目安時間: 40〜60分
- 見どころ: 蔵王温泉から山を下り、かみのやま温泉のある上山市へ。果樹園「高橋フルーツランド」の直営カフェが HATAKE STYLE です。フルーツ王国・山形の実力をそのまま盛ったパフェが名物で、初夏はさくらんぼ、夏の終わりは桃とぶどうと、季節ごとに主役が入れ替わります。私たちが6月に頼んだパフェは、さくらんぼとメロンがソフトクリームを覆い尽くす勢いでした。売店では旬の果物やジャムも買えるので、おみやげ探しにも。


9. 道の駅 やまがた蔵王
- タイプ: 道の駅
- 滞在目安時間: 30〜40分
- 見どころ: 上山から国道286号のバイパスを山形市街方面へ走ると現れる、比較的新しい道の駅です。山形の産直品やおみやげが一通り揃うなかで、私たちのお気に入りは瓶入りの「山形プリン」。プレーンと蔵王スノープリンを買って、木のベンチでひと休みしました。山寺へ向かう前の最後の買い出しポイントとしても便利です。

10. 立石寺(山寺)
- タイプ: 観光(寺社)
- 滞在目安時間: 90〜120分
- 見どころ: 旅の締めくくりは、松尾芭蕉の「閑さや岩にしみ入る蝉の声」で知られる山寺・立石寺。麓から奥之院まで約1,000段の石段を登る、ちょっとした登山です。息が上がってきたころ、岩の上に立つ朱塗りの納経堂が見えたらあと少し。五大堂の舞台に立てば、門前町と山々を一望する絶景が待っています。岩の間を縫う下りの石段も味わい深く、登り切った達成感ごと旅の思い出になります。歩きやすい靴と飲みものを忘れずに。参拝を終えたら、山形道・関沢ICから笹谷トンネルを抜ければ宮城側へすんなり戻れます。


足を延ばすなら — 方角別の寄り道
ここまでの本線とは方角が合わないものの、遠刈田に通ううちに寄ってよかった場所を3つ挙げておきます。行き帰りの方面に合わせて組み込んでみてください。
秋保大滝(仙台方面・北) — 帰りに仙台方面へ向かうなら、落差55mの名瀑・秋保大滝へ。石鳥居の参道が印象的な秋保大滝不動尊にお参りしてから、展望台で滝と対面する流れがおすすめです。


滑津大滝(七ヶ宿方面・南) — 遠刈田から国道113号方面へ南下するなら、七ヶ宿町の滑津大滝へ。二段に流れ落ちる幅広の滝で「二階滝」とも呼ばれ、遊歩道から滝のすぐ近くまで下りられます。紅葉の時期がとくに見事でした。

鳴子温泉郷(北・別の旅で) — 鳴子峡や潟沼のある鳴子温泉郷も宮城を代表する温泉地ですが、遠刈田からはかなり距離があるので、このルートには組み込まず別の旅にするのがおすすめです。
まとめ
森の喫茶店で一服してから遠刈田温泉のオールインクルーシブの宿に籠もり、翌朝はエコーラインで駒草平と御釜の火山景観を浴びて、山形側でジンギスカン・かき氷・パフェと食いしん坊の寄り道を重ね、最後は山寺の石段で締める——蔵王という山の懐の深さを、1泊2日でひとまわりできるルートです。何度も通って集めたスポットだけを線にしたので、どこで停まっても外れはないはず。エコーラインの開通期間(4月下旬〜11月上旬)と御釜の天気だけは事前に確認して、朝早めの出発で御釜の勝率を上げてください。